ネテモサメテモ。

同人置き場

もうひとつのメイドの話

※空がメイド。(モブ要素あり)パロディです。

 

ゼアノートは映し出されるモニターを鋭い眼光で見ていた。

『見てごらん、教授』
『うっ』

白衣を着た男が少年の頭を掴み、その細い顎に手を添える。
少年の唇からは小さな吐息が絶えず聞こえている。

『あなたが邪魔さえしなければ、僕は学会で認められていたはずなのに』
『ひぃっん!やっ!』

ぐちょり、とモニターには映し出されないところで粘着音が響く。
いつも規則正しく着られているはずの少年のメイド服は着崩されて、その上半身のシャツの中へと差し込まれた男の掌は、胸元辺りを弄っているようだ。
少年は身をよじってはいるが、後ろ手に拘束されているせいかあまり抵抗ができていない。
ゼアノートの屋敷に少年、ソラを捕らえたと連絡が入ってから数時間が経っていた。
ご主人様の功績に嫉妬した者の悪戯でしょうと深刻さを理解していない言葉を口にした一部の使用人をその場で解雇し、ゼアノートは地下にある研究室に向かった。
部屋にあるいくつかのモニターのひとつをつけると、ソラにつけていたGPSのおかげで場所は安易に特定できた。
あとはそこへ向かうだけだと、モニターを切ろうとした瞬間に、画面奥から声をかけられたゼアノートは足を止め、それを睨みつけた。


「論文がほしいなら、そう言えばいい。あんなモノいつだってくれてやる。」

ゼアノートが静かに言い放つと、男は歯を食いしばって睨みつけてくる。

『痛い、ぃっ…!あああっ!離してっ!』

男の怒りの矛先はか細い身体へと向けられ、胸元の飾りを抓られたせいか、ソラは叫びながら頭を振った。
男は血走った瞳を見開き、大きく口を開いた。

『侮辱しやがって!土下座しろ!こいつがどうなってもいいのか!』
「ただの使用人の1人だ。勝手にすればいい」
『ぃやぁっ!ゼアノ、『黙れ!』

プツン、と音を鳴らし、モニターの画面は切られた。

すぐさまゼアノートは研究室の扉を開き、歩を止めることなく、屋敷を出た。
ガレージからエンブレムのついた車に乗り込み、そのまま特定した場所までたどり着くまでそう時間はかからなかった。
GPSが示した通りに進むと、やがて錆びれた建物が見えてきた。
車から降り、手入れが全くされていない雑草だらけの庭から中へと入る。
ゼアノートは自分の屋敷とは大違いだと、感じた。
エントランスから地下へと続く扉を即座に見つけ、ひび割れたコンクリートの階段を一段ずつ降りていく。
ドアノブがついている行き止まりの壁まで来ると、ドアノブに埋め込まれている解除キーに番号を入力すると扉がゆっくりと横にスライドした。

「ぃやああっ!ひっ、あっ!やめてぇっ!」

モニターだらけの部屋の中で、ソラの声が響く。
冷たい床に膝をついて、手足を後ろに拘束されているソラは怪しい手つきで衣服を捲る男から逃れようと必死に暴れていた。
その艶のある声に夢中になってしまっているのか、男は近づいてくるゼアノートの足音に気づく様子はない。
コツコツと足音を鳴らし、ソラの目の前までやってきたゼアノートは片手を伸ばすと男の首を絞め上げた。

「ぐっ、」
「楽しかったか?おやすみ」
「――。」

男の首はゼアノートに手折られ、呼吸をしなくなった身体はぱさりとソラの隣に落とされた。
ゼアノートはその場にしゃがむと、ソラの身体の拘束具を手慣れた様子でかちりと外した。
手足に自由を取り戻したソラは乱された衣服を直そうとするが、ボタンを締める両手は震えてしまい、上手くいく様子が窺えない。
ゼアノートは小さく笑みを溢すと、ソラを両手で抱き上げた。

「今更隠す必要はないだろう。」
「でも…」
「それは捨てろ。屋敷にある新しい物に着替えれば良い。」
「…はい。」
「いやにしおらしいな、怖かったのか」

こくりと頷くとソラの瞳から流れた涙が頬を伝う。ソラは甘えるようにゼアノートの首元に両腕を回した。
地上へ出るために降りてきた階段をまた一段ずつ、ゼアノートはゆっくりと上がる。

「来てくれないのかと思った…」
「ああ、あれか。俺の性格はお前がよく知っているだろう。」
「うん。でも、怖かったんだよ。」
「そうか。遅くなってすまなかったな。」

建物から出て、近くに着けていた車の前まで来るとソラを降ろす。長いスカートを両手で捲り、ソラは助手席に乗り込む。
ゼアノートも運転席に座りハンドルを握ろうとすると、ソラは何か言いたげに見上げてきた。
視線に気づいたゼアノートは、ソラの顎を指でそっと撫で、顔を傾けると唇を重ねた。

「ん。これで許してあげる。」

ソラは満足したように、小さく笑った。

※空がメイド。(モブ要素あり)パロディです。

 

ゼアノートは映し出されるモニターを鋭い眼光で見ていた。

『見てごらん、教授』
『うっ』

白衣を着た男が少年の頭を掴み、その細い顎に手を添える。
少年の唇からは小さな吐息が絶えず聞こえている。

『あなたが邪魔さえしなければ、僕は学会で認められていたはずなのに』
『ひぃっん!やっ!』

ぐちょり、とモニターには映し出されないところで粘着音が響く。
いつも規則正しく着られているはずの少年のメイド服は着崩されて、その上半身のシャツの中へと差し込まれた男の掌は、胸元辺りを弄っているようだ。
少年は身をよじってはいるが、後ろ手に拘束されているせいかあまり抵抗ができていない。
ゼアノートの屋敷に少年、ソラを捕らえたと連絡が入ってから数時間が経っていた。
ご主人様の功績に嫉妬した者の悪戯でしょうと深刻さを理解していない言葉を口にした一部の使用人をその場で解雇し、ゼアノートは地下にある研究室に向かった。
部屋にあるいくつかのモニターのひとつをつけると、ソラにつけていたGPSのおかげで場所は安易に特定できた。
あとはそこへ向かうだけだと、モニターを切ろうとした瞬間に、画面奥から声をかけられたゼアノートは足を止め、それを睨みつけた。


「論文がほしいなら、そう言えばいい。あんなモノいつだってくれてやる。」

ゼアノートが静かに言い放つと、男は歯を食いしばって睨みつけてくる。

『痛い、ぃっ…!あああっ!離してっ!』

男の怒りの矛先はか細い身体へと向けられ、胸元の飾りを抓られたせいか、ソラは叫びながら頭を振った。
男は血走った瞳を見開き、大きく口を開いた。

『侮辱しやがって!土下座しろ!こいつがどうなってもいいのか!』
「ただの使用人の1人だ。勝手にすればいい」
『ぃやぁっ!ゼアノ、『黙れ!』

プツン、と音を鳴らし、モニターの画面は切られた。

すぐさまゼアノートは研究室の扉を開き、歩を止めることなく、屋敷を出た。
ガレージからエンブレムのついた車に乗り込み、そのまま特定した場所までたどり着くまでそう時間はかからなかった。
GPSが示した通りに進むと、やがて錆びれた建物が見えてきた。
車から降り、手入れが全くされていない雑草だらけの庭から中へと入る。
ゼアノートは自分の屋敷とは大違いだと、感じた。
エントランスから地下へと続く扉を即座に見つけ、ひび割れたコンクリートの階段を一段ずつ降りていく。
ドアノブがついている行き止まりの壁まで来ると、ドアノブに埋め込まれている解除キーに番号を入力すると扉がゆっくりと横にスライドした。

「ぃやああっ!ひっ、あっ!やめてぇっ!」

モニターだらけの部屋の中で、ソラの声が響く。
冷たい床に膝をついて、手足を後ろに拘束されているソラは怪しい手つきで衣服を捲る男から逃れようと必死に暴れていた。
その艶のある声に夢中になってしまっているのか、男は近づいてくるゼアノートの足音に気づく様子はない。
コツコツと足音を鳴らし、ソラの目の前までやってきたゼアノートは片手を伸ばすと男の首を絞め上げた。

「ぐっ、」
「楽しかったか?おやすみ」
「――。」

男の首はゼアノートに手折られ、呼吸をしなくなった身体はぱさりとソラの隣に落とされた。
ゼアノートはその場にしゃがむと、ソラの身体の拘束具を手慣れた様子でかちりと外した。
手足に自由を取り戻したソラは乱された衣服を直そうとするが、ボタンを締める両手は震えてしまい、上手くいく様子が窺えない。
ゼアノートは小さく笑みを溢すと、ソラを両手で抱き上げた。

「今更隠す必要はないだろう。」
「でも…」
「それは捨てろ。屋敷にある新しい物に着替えれば良い。」
「…はい。」
「いやにしおらしいな、怖かったのか」

こくりと頷くとソラの瞳から流れた涙が頬を伝う。ソラは甘えるようにゼアノートの首元に両腕を回した。
地上へ出るために降りてきた階段をまた一段ずつ、ゼアノートはゆっくりと上がる。

「来てくれないのかと思った…」
「ああ、あれか。俺の性格はお前がよく知っているだろう。」
「うん。でも、怖かったんだよ。」
「そうか。遅くなってすまなかったな。」

建物から出て、近くに着けていた車の前まで来るとソラを降ろす。長いスカートを両手で捲り、ソラは助手席に乗り込む。
ゼアノートも運転席に座りハンドルを握ろうとすると、ソラは何か言いたげに見上げてきた。
視線に気づいたゼアノートは、ソラの顎を指でそっと撫で、顔を傾けると唇を重ねた。

「ん。これで許してあげる。」

ソラは満足したように、小さく笑った。

※空がメイド。(モブ要素あり)パロディです。

 

ゼアノートは映し出されるモニターを鋭い眼光で見ていた。

『見てごらん、教授』
『うっ』

白衣を着た男が少年の頭を掴み、その細い顎に手を添える。
少年の唇からは小さな吐息が絶えず聞こえている。

『あなたが邪魔さえしなければ、僕は学会で認められていたはずなのに』
『ひぃっん!やっ!』

ぐちょり、とモニターには映し出されないところで粘着音が響く。
いつも規則正しく着られているはずの少年のメイド服は着崩されて、その上半身のシャツの中へと差し込まれた男の掌は、胸元辺りを弄っているようだ。
少年は身をよじってはいるが、後ろ手に拘束されているせいかあまり抵抗ができていない。
ゼアノートの屋敷に少年、ソラを捕らえたと連絡が入ってから数時間が経っていた。
ご主人様の功績に嫉妬した者の悪戯でしょうと深刻さを理解していない言葉を口にした一部の使用人をその場で解雇し、ゼアノートは地下にある研究室に向かった。
部屋にあるいくつかのモニターのひとつをつけると、ソラにつけていたGPSのおかげで場所は安易に特定できた。
あとはそこへ向かうだけだと、モニターを切ろうとした瞬間に、画面奥から声をかけられたゼアノートは足を止め、それを睨みつけた。


「論文がほしいなら、そう言えばいい。あんなモノいつだってくれてやる。」

ゼアノートが静かに言い放つと、男は歯を食いしばって睨みつけてくる。

『痛い、ぃっ…!あああっ!離してっ!』

男の怒りの矛先はか細い身体へと向けられ、胸元の飾りを抓られたせいか、ソラは叫びながら頭を振った。
男は血走った瞳を見開き、大きく口を開いた。

『侮辱しやがって!土下座しろ!こいつがどうなってもいいのか!』
「ただの使用人の1人だ。勝手にすればいい」
『ぃやぁっ!ゼアノ、『黙れ!』

プツン、と音を鳴らし、モニターの画面は切られた。

すぐさまゼアノートは研究室の扉を開き、歩を止めることなく、屋敷を出た。
ガレージからエンブレムのついた車に乗り込み、そのまま特定した場所までたどり着くまでそう時間はかからなかった。
GPSが示した通りに進むと、やがて錆びれた建物が見えてきた。
車から降り、手入れが全くされていない雑草だらけの庭から中へと入る。
ゼアノートは自分の屋敷とは大違いだと、感じた。
エントランスから地下へと続く扉を即座に見つけ、ひび割れたコンクリートの階段を一段ずつ降りていく。
ドアノブがついている行き止まりの壁まで来ると、ドアノブに埋め込まれている解除キーに番号を入力すると扉がゆっくりと横にスライドした。

「ぃやああっ!ひっ、あっ!やめてぇっ!」

モニターだらけの部屋の中で、ソラの声が響く。
冷たい床に膝をついて、手足を後ろに拘束されているソラは怪しい手つきで衣服を捲る男から逃れようと必死に暴れていた。
その艶のある声に夢中になってしまっているのか、男は近づいてくるゼアノートの足音に気づく様子はない。
コツコツと足音を鳴らし、ソラの目の前までやってきたゼアノートは片手を伸ばすと男の首を絞め上げた。

「ぐっ、」
「楽しかったか?おやすみ」
「――。」

男の首はゼアノートに手折られ、呼吸をしなくなった身体はぱさりとソラの隣に落とされた。
ゼアノートはその場にしゃがむと、ソラの身体の拘束具を手慣れた様子でかちりと外した。
手足に自由を取り戻したソラは乱された衣服を直そうとするが、ボタンを締める両手は震えてしまい、上手くいく様子が窺えない。
ゼアノートは小さく笑みを溢すと、ソラを両手で抱き上げた。

「今更隠す必要はないだろう。」
「でも…」
「それは捨てろ。屋敷にある新しい物に着替えれば良い。」
「…はい。」
「いやにしおらしいな、怖かったのか」

こくりと頷くとソラの瞳から流れた涙が頬を伝う。ソラは甘えるようにゼアノートの首元に両腕を回した。
地上へ出るために降りてきた階段をまた一段ずつ、ゼアノートはゆっくりと上がる。

「来てくれないのかと思った…」
「ああ、あれか。俺の性格はお前がよく知っているだろう。」
「うん。でも、怖かったんだよ。」
「そうか。遅くなってすまなかったな。」

建物から出て、近くに着けていた車の前まで来るとソラを降ろす。長いスカートを両手で捲り、ソラは助手席に乗り込む。
ゼアノートも運転席に座りハンドルを握ろうとすると、ソラは何か言いたげに見上げてきた。
視線に気づいたゼアノートは、ソラの顎を指でそっと撫で、顔を傾けると唇を重ねた。

「ん。これで許してあげる。」

ソラは満足したように、小さく笑った。

※空がメイド。(モブ要素あり)パロディです。

 

ゼアノートは映し出されるモニターを鋭い眼光で見ていた。

『見てごらん、教授』
『うっ』

白衣を着た男が少年の頭を掴み、その細い顎に手を添える。
少年の唇からは小さな吐息が絶えず聞こえている。

『あなたが邪魔さえしなければ、僕は学会で認められていたはずなのに』
『ひぃっん!やっ!』

ぐちょり、とモニターには映し出されないところで粘着音が響く。
いつも規則正しく着られているはずの少年のメイド服は着崩されて、その上半身のシャツの中へと差し込まれた男の掌は、胸元辺りを弄っているようだ。
少年は身をよじってはいるが、後ろ手に拘束されているせいかあまり抵抗ができていない。
ゼアノートの屋敷に少年、ソラを捕らえたと連絡が入ってから数時間が経っていた。
ご主人様の功績に嫉妬した者の悪戯でしょうと深刻さを理解していない言葉を口にした一部の使用人をその場で解雇し、ゼアノートは地下にある研究室に向かった。
部屋にあるいくつかのモニターのひとつをつけると、ソラにつけていたGPSのおかげで場所は安易に特定できた。
あとはそこへ向かうだけだと、モニターを切ろうとした瞬間に、画面奥から声をかけられたゼアノートは足を止め、それを睨みつけた。


「論文がほしいなら、そう言えばいい。あんなモノいつだってくれてやる。」

ゼアノートが静かに言い放つと、男は歯を食いしばって睨みつけてくる。

『痛い、ぃっ…!あああっ!離してっ!』

男の怒りの矛先はか細い身体へと向けられ、胸元の飾りを抓られたせいか、ソラは叫びながら頭を振った。
男は血走った瞳を見開き、大きく口を開いた。

『侮辱しやがって!土下座しろ!こいつがどうなってもいいのか!』
「ただの使用人の1人だ。勝手にすればいい」
『ぃやぁっ!ゼアノ、『黙れ!』

プツン、と音を鳴らし、モニターの画面は切られた。

すぐさまゼアノートは研究室の扉を開き、歩を止めることなく、屋敷を出た。
ガレージからエンブレムのついた車に乗り込み、そのまま特定した場所までたどり着くまでそう時間はかからなかった。
GPSが示した通りに進むと、やがて錆びれた建物が見えてきた。
車から降り、手入れが全くされていない雑草だらけの庭から中へと入る。
ゼアノートは自分の屋敷とは大違いだと、感じた。
エントランスから地下へと続く扉を即座に見つけ、ひび割れたコンクリートの階段を一段ずつ降りていく。
ドアノブがついている行き止まりの壁まで来ると、ドアノブに埋め込まれている解除キーに番号を入力すると扉がゆっくりと横にスライドした。

「ぃやああっ!ひっ、あっ!やめてぇっ!」

モニターだらけの部屋の中で、ソラの声が響く。
冷たい床に膝をついて、手足を後ろに拘束されているソラは怪しい手つきで衣服を捲る男から逃れようと必死に暴れていた。
その艶のある声に夢中になってしまっているのか、男は近づいてくるゼアノートの足音に気づく様子はない。
コツコツと足音を鳴らし、ソラの目の前までやってきたゼアノートは片手を伸ばすと男の首を絞め上げた。

「ぐっ、」
「楽しかったか?おやすみ」
「――。」

男の首はゼアノートに手折られ、呼吸をしなくなった身体はぱさりとソラの隣に落とされた。
ゼアノートはその場にしゃがむと、ソラの身体の拘束具を手慣れた様子でかちりと外した。
手足に自由を取り戻したソラは乱された衣服を直そうとするが、ボタンを締める両手は震えてしまい、上手くいく様子が窺えない。
ゼアノートは小さく笑みを溢すと、ソラを両手で抱き上げた。

「今更隠す必要はないだろう。」
「でも…」
「それは捨てろ。屋敷にある新しい物に着替えれば良い。」
「…はい。」
「いやにしおらしいな、怖かったのか」

こくりと頷くとソラの瞳から流れた涙が頬を伝う。ソラは甘えるようにゼアノートの首元に両腕を回した。
地上へ出るために降りてきた階段をまた一段ずつ、ゼアノートはゆっくりと上がる。

「来てくれないのかと思った…」
「ああ、あれか。俺の性格はお前がよく知っているだろう。」
「うん。でも、怖かったんだよ。」
「そうか。遅くなってすまなかったな。」

建物から出て、近くに着けていた車の前まで来るとソラを降ろす。長いスカートを両手で捲り、ソラは助手席に乗り込む。
ゼアノートも運転席に座りハンドルを握ろうとすると、ソラは何か言いたげに見上げてきた。
視線に気づいたゼアノートは、ソラの顎を指でそっと撫で、顔を傾けると唇を重ねた。

「ん。これで許してあげる。」

ソラは満足したように、小さく笑った。

※空がメイド。(モブ要素あり)パロディです。

 

ゼアノートは映し出されるモニターを鋭い眼光で見ていた。

『見てごらん、教授』
『うっ』

白衣を着た男が少年の頭を掴み、その細い顎に手を添える。
少年の唇からは小さな吐息が絶えず聞こえている。

『あなたが邪魔さえしなければ、僕は学会で認められていたはずなのに』
『ひぃっん!やっ!』

ぐちょり、とモニターには映し出されないところで粘着音が響く。
いつも規則正しく着られているはずの少年のメイド服は着崩されて、その上半身のシャツの中へと差し込まれた男の掌は、胸元辺りを弄っているようだ。
少年は身をよじってはいるが、後ろ手に拘束されているせいかあまり抵抗ができていない。
ゼアノートの屋敷に少年、ソラを捕らえたと連絡が入ってから数時間が経っていた。
ご主人様の功績に嫉妬した者の悪戯でしょうと深刻さを理解していない言葉を口にした一部の使用人をその場で解雇し、ゼアノートは地下にある研究室に向かった。
部屋にあるいくつかのモニターのひとつをつけると、ソラにつけていたGPSのおかげで場所は安易に特定できた。
あとはそこへ向かうだけだと、モニターを切ろうとした瞬間に、画面奥から声をかけられたゼアノートは足を止め、それを睨みつけた。


「論文がほしいなら、そう言えばいい。あんなモノいつだってくれてやる。」

ゼアノートが静かに言い放つと、男は歯を食いしばって睨みつけてくる。

『痛い、ぃっ…!あああっ!離してっ!』

男の怒りの矛先はか細い身体へと向けられ、胸元の飾りを抓られたせいか、ソラは叫びながら頭を振った。
男は血走った瞳を見開き、大きく口を開いた。

『侮辱しやがって!土下座しろ!こいつがどうなってもいいのか!』
「ただの使用人の1人だ。勝手にすればいい」
『ぃやぁっ!ゼアノ、『黙れ!』

プツン、と音を鳴らし、モニターの画面は切られた。

すぐさまゼアノートは研究室の扉を開き、歩を止めることなく、屋敷を出た。
ガレージからエンブレムのついた車に乗り込み、そのまま特定した場所までたどり着くまでそう時間はかからなかった。
GPSが示した通りに進むと、やがて錆びれた建物が見えてきた。
車から降り、手入れが全くされていない雑草だらけの庭から中へと入る。
ゼアノートは自分の屋敷とは大違いだと、感じた。
エントランスから地下へと続く扉を即座に見つけ、ひび割れたコンクリートの階段を一段ずつ降りていく。
ドアノブがついている行き止まりの壁まで来ると、ドアノブに埋め込まれている解除キーに番号を入力すると扉がゆっくりと横にスライドした。

「ぃやああっ!ひっ、あっ!やめてぇっ!」

モニターだらけの部屋の中で、ソラの声が響く。
冷たい床に膝をついて、手足を後ろに拘束されているソラは怪しい手つきで衣服を捲る男から逃れようと必死に暴れていた。
その艶のある声に夢中になってしまっているのか、男は近づいてくるゼアノートの足音に気づく様子はない。
コツコツと足音を鳴らし、ソラの目の前までやってきたゼアノートは片手を伸ばすと男の首を絞め上げた。

「ぐっ、」
「楽しかったか?おやすみ」
「――。」

男の首はゼアノートに手折られ、呼吸をしなくなった身体はぱさりとソラの隣に落とされた。
ゼアノートはその場にしゃがむと、ソラの身体の拘束具を手慣れた様子でかちりと外した。
手足に自由を取り戻したソラは乱された衣服を直そうとするが、ボタンを締める両手は震えてしまい、上手くいく様子が窺えない。
ゼアノートは小さく笑みを溢すと、ソラを両手で抱き上げた。

「今更隠す必要はないだろう。」
「でも…」
「それは捨てろ。屋敷にある新しい物に着替えれば良い。」
「…はい。」
「いやにしおらしいな、怖かったのか」

こくりと頷くとソラの瞳から流れた涙が頬を伝う。ソラは甘えるようにゼアノートの首元に両腕を回した。
地上へ出るために降りてきた階段をまた一段ずつ、ゼアノートはゆっくりと上がる。

「来てくれないのかと思った…」
「ああ、あれか。俺の性格はお前がよく知っているだろう。」
「うん。でも、怖かったんだよ。」
「そうか。遅くなってすまなかったな。」

建物から出て、近くに着けていた車の前まで来るとソラを降ろす。長いスカートを両手で捲り、ソラは助手席に乗り込む。
ゼアノートも運転席に座りハンドルを握ろうとすると、ソラは何か言いたげに見上げてきた。
視線に気づいたゼアノートは、ソラの顎を指でそっと撫で、顔を傾けると唇を重ねた。

「ん。これで許してあげる。」

ソラは満足したように、小さく笑った。