「知ってるか?旧スカラビア寮の話」
「動く肖像画のこと?」
「そー。寮制度が廃止される何十年も前に建設された部屋にある」
「その部屋の奥には肖像画があって、夜な夜な動くとか・・・」
「ゴーストじゃあるまいし!」
「たしか、当時の寮長と副寮長の肖像画なんだろ」
「たかが学校の寮に肖像画だって?金かけすぎじゃね?」
「他の寮にもあるのかな」
「そんな話聞いたことないけどなあ」
「あの肖像画と似てないか?」
「気のせいだろ!第一あっちは当時の寮生だ」
「そうかなあ・・・そういえばこの館って、いつ取り壊されるんだっけ」
「一カ月後。旧スカラビア寮と同じだな」
「偶然か?」
「今まで入場料取ってたってのに、今じゃ無料公開だぜ」
「にしても客少ねえな」
「この絵画も夜中に動く現象が多々あるって。近隣住民が気味悪がって、取り壊されるって噂」
「昔は動く絵画なんて不思議でもなかったのになあ。今じゃ魔法技術が落ちぶれちゃって、魔法士制度も廃止。NRCなんて今やただの共学の進学校だしな」
「俺のクラスに魔法使える奴いるけど、医者家系って言ってたわ」
「今使っていい魔法ってなんだっけ?治癒ぐらいか」
「RSA付属の魔法医療学校ならいまだにあるしな。ブロットの制御するのキツいんだろ」
「特にNRCはな~。何期生か忘れちまったけど、ある卒業生の代がやばかったって歴史書に残ってるぐらいだぜ」
「ああ、学園中を巻き込んでたやつか」
「そうそう!旧スカラビア寮も、当時の副寮長がめちゃくちゃしてたって」
「めちゃくちゃってなんだよ」
「砂漠の魔術師に匹敵するユニーク魔法!え~っとなんだっけ」
「洗脳だろ」
「そうそう!寮生たちを思うがままに操ってたって」
「こえ~!それって、教師も大人も操ってたのかな。成績上げろ~とか」
「あ、それいいな。留年しなくて済むじゃん」
「カンニングしてもバレないっこと?」
「チートすぎるだろ。その魔法ってそんなに保てるのか?」
「そこまでの記述はなかったけど」
「普通じゃ考えられないユニーク魔法だよな。で、ブロットが溜まった結果、旧スカラビア寮が破壊された」
「やっぱあれ一回建て直したんだな」
「で、この絵画があの肖像画としたら、どっちが副寮長なんだ?」
「同じに思えないけど・・・それに髪の長い方は女じゃね?」
「あ~、だったら納得。肖像画が夜中動くときって2人で踊ってんだろ。実は恋人同士だったりして」
「じゃあ寮長と副寮長だって噂は嘘?」
「なーんだ。NRC男子校だったもんな、有り得ねえか」
「「「あ」」」
「・・・・・・今、目動いたよな」
「・・・・・・うん」
「・・・・・・で、俺らさっきまでなんの話してたっけ」
「・・・・・・さあ」