ネテモサメテモ。

同人置き場

あまい休日

「ふぁ~。」

置時計からじりりり、とアラームが鳴る。
時計は9時を周っており、休日の朝を知らせる。ソラはいつもより遅い朝の日差しをカーテンの隙間から感じながら、寝ぼけ眼でぐっと両腕を上げてあくびをする。
ベッドから降りると、床に散乱している衣服の中から無造作にズボンやシャツを選び、それに履き替える。
きちんと畳んで箪笥にしまいなさいと怒られながら、母親から洗濯済みの衣服を渡されても、自分の部屋に入るとすぐにベッドに突っ伏してしまうクセがあるソラはそれがなかなかできないでいた。
そういえば昨日もきちんと整理ができていなかったなあと呑気に考えながら、着替えを終える。
「・・・ん?」
ズボンのチャックを上げたとき、ソラは小首を傾げた。
そういえば、上のシャツを着たときも、なんとなく・・・
「あれ・・・?き、きつい・・・」
胸元と尻に昨日まで感じなかった違和感を覚える。
鏡で確認すると、シャツの肩の線が少しずれているように感じる。長袖を選んでるはず縮んでしまったのか、裾が若干短くなったように思う。
くるりと後ろ向きになると、尻のあたりはなんとなく、その形がより一層強調されているようにも見える。
「もしかして!」
ソラはさっと青ざめると部屋を飛び出していった。

 

**

「リク!リク!リーーークーーー!!!」
「今開けるから、少し黙ってろ。」
「!」
家の窓に向かって外から叫んでいると、2階の部屋の窓からリクが顔を出し、ソラを見ると顔をしかめて自分の口元にシっと、人差し指を当てた。
ソラははっとして、両手で口を塞ぎこくこくと頷く。
大人しく玄関の前で待っていると、がちゃっと扉が開く。
ラフな部屋着を着ているリクが、扉奥から現れた。
「何の用だ?」
「俺、太ったかもしれない」
予想外の言葉を聞かされ、リクは目を丸くして俯いてるソラを見下ろす。
たしかに以前はあまり意識はしていなかったが、ソラの胸元の中心に一筋の線が入ってるようにも見える。
太ったというよりこれは…
「…とりあえず、中に入れ。」
「お邪魔します…」
恥ずかしそうな素振りを見せるソラは、リクに招かれて歩を進めた。どうやらリクの両親は今は不在らしい。
廊下を歩き、吹き抜けの天井から太陽の光が差し込む広いリビングに通されてソラはソファに腰かけた。
だが違和感があるのか、ソラはもぞもぞと尻を左右に揺らしてぱっと立ち上がる。
「なんだ?」
「ねえ、ズボン破けてない?見て、リク!」
座った時に不安になったのだろうか、ソラはくるりと回って、リクに向かって尻を見せる。
リクはその仕草に、微かな頭痛を感じた。この場にいるのが自分だけでよかったと心底思う。
「…破けてない」
「本当!?よく見てよ!なんかさ、ズボンも最近キツくって。太ったから…」
言いながら、ソラは眉を下げてかなしそうな顔を見せる。
そもそも先程からソラが気にして発言していることはリクにとっては不可解なことだった。
「ソラ、お腹見せて見ろ。」
「へっ?う、うん。」
ソラは素直に従って着ているシャツを脱ぐように両手で捲って見せる。
リク程ではないが、ソラも運動やスポーツが好きなので上半身は自然と綺麗な腹筋が付いている。
ソラが太ったと言うのなら、まずは腹に脂肪という証拠が付きそうなものの、見当たらないのだ。
リクはやはりな、と思い、ソラの胸元を指で触れる。
「ひゃっ!?なにするんだよ!」
「太ったわけじゃない。」
「ちょっと!変な触り方しな…んんっ…」
胸元の小さな飾りを親指でくりっと転がしてみると、ソラは目を瞑ってくぐもった声を出す。
途端に事情を思い出してしまったのか、ソラの顔はみるみるうちに赤く染まっていく。
ソラは、リクの両手を柔く掴んだ。
「リク!」
「もう一度言うぞ、ソラ。お前は太ったわけじゃない。」
「あっ!うっ…」
掴まれた両手を解くと、リクはソラの形の良い尻に手を伸ばした。そのまま形をより確かめようとするように優しく揉みこむ。
ソラの肩はぴくりと反応を示し、リクの胸元のシャツをきゅっと両手で掴む。
赤く染まり熱を帯びた耳元へ唇を寄せて、リクはふっと息を吹きかける。

「俺に抱かれる身体になっただけだ、心配するな。」
「~~~ッ!!」

声にならない声を上げて、ソラはいよいよ泣きそうな表情を見せた。
それは歓喜か戸惑いか、表情の奥底の真相は、リクしか知らない